頑張らなくていいからさ
2015-12-05 Sat 18:23


数日前に命日だった友人の家に行き、お線香をあげて来た。

彼女に似合う白と柔らかいピンク色のお花を持って。

自分の知っている中では誰よりも可憐で心の綺麗な女性。
線の細い美しいひと。


メール以外で旦那さんに会うのは半年ぶり。
神経質でピリピリしているところがあった彼。
彼女が亡くなってからというもの穏やかになり、静かな笑顔で話すようになった。
それが余計にせつなくて苦しくなる。


お位牌の前にはどこの女優さん?って思うような素敵な写真が三つ。
彼女はリビングの一番陽の当たる場所にいる。

「○ちゃん久しぶり。」涙が溢れてきた。
「あなたは相変わらずきれいなママだわね。」 自分でも変なことを言ってるとは思う。


「うん、最後の方は鬱がひどくて笑っている写真が無くて、
親戚がもっと若い時の写真を飾れって色々持ってきてくれたりさ。」

「あら、日替わりで飾れるわね。」


亡くなって2年。
部屋には彼女の気配はもう無いように感じられ、何故か写真だけが浮いている。


暫くお互いの近況やなにげない雑談を交わした。


別室では院の卒論で忙しいお兄ちゃんが寝ているそうだが、
(これがまた兄弟そろっていい子で、うちらの仲間で飲むとお兄ちゃんは親の俺らよりもよっぽど人間ができてて老成してるよーって話になる程。)
それにしても静かで耳に入るのはヒーターの音ばかりだ。



彼女は、元々の発端は旦那さんの親の介護に悩み鬱がひどくなってしまった。
数年間入退院を繰り返して、家族もできるだけ交代で彼女の様子に注意をしていた。

がほんの数時間ひとりになった間に彼女は逝ってしまった。



「頑張らないようにさ、しようね。頑張んなくていいんだからさ。」
彼は言う。


身に沁みる。

彼の後悔と残った者にできること、彼女の分もそうしようとする深い思い。


「うん、わかる。そうだよね。そうしようね。
誰に言われてもたいして心が動かないけれど、あなたに言われるとよくわかる。
ありがとう。」

こちらの事情も深く聞かなくてもわかってくれている。


「頑張らなくていいって言葉がまるごと伝わる一番の友人はママかな。」
ってまた静かに笑う。
「来てくれて○子も喜んでるよ。」


「こちらこそ。またね。」


振り返って写真に手を振ったら涙が一気に流れてきた。
まだまだ色んなこと話したかったよ。
仕事や子育て、介護が楽になったら遊ぶはずだったのに。

いやだめだ。後悔を残しちゃ彼女に悪い。
彼女は旦那さんを通して伝えてくれてるんだ。


帰り道ひとめも気にせず(できず)泣きながら鼻をかんだら、
冬の冷たい空気が吸い込めて、
そしてそのまま上を向き透き通るような空を眺めたら、やっと少し落ち着けた気がした。




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