Piano Man
2015-07-17 Fri 00:08
Piano Man



土曜の夜にいつもひとりで店に来る爺さんがめずらしく話しかけてきた。


『ボウズはなんでいつもマシンみたいな顔をしてピアノを弾くんだい?』


150713 F-16 2 -1 (2)







俺の分のジントニックを差し出して爺さんが言った。

俺なんかより向こうの可愛いウエイトレスのとこへ行けばいいのに。



『実際そのマシンなんだよ。』


『突拍子もない事を言うボウズだな。』

それからこう付け加えた。
 

『実は昔ボウズにそっくりな若い男に親切にしてもらったことがあって、
 もしかしてそれはお前さんの父親じゃないかとここに来る度に思っていたんだ。』

爺さんは人懐っこく笑った。


『それたぶん俺のコピー。
 俺かなり古い型だから当時はまだコピーがいくつか出回っていた。 
 おそらくそいつはもう回収されているはずだよ。
 混乱を招くからオリジナル以外はとおに出荷が規制されたけどね。』





150713_201507130836039b6.jpg




俺の言葉に暫く目を丸くし、それでも爺さんは



『そいつはずいぶん気の利いたジョークだ。 
 即興で創作できるなんてお前さんはいい音楽家になるよ。』


そしてポケットからチップを出し愛想良く言った。




『じゃあそろそろいつものを弾いてくれないか、ピアノマン。』



150713 F-16 4-1






爺さんは水槽の魚も、公園の鳥も、爺さんの女房も、
自分がマシンだってことさえわからない”新型”だな。



150713 F-16 5




Sing us a song, you're the piano man.


俺は決まって土曜日にやる曲を弾きながら思った。


今時のマシンは良い笑顔をしているじゃないか。





150713 F-16 3




店が終わると俺は水槽から魚を取り出し、それを古い薬瓶に入れて蓋を閉めた。


何故かそうしないといけない気がした。

そうする必要があると思った。





150713-1.jpg




瓶の中で魚はいつまでも動いている。




- END -



これは一昨日ポークカレーを煮込んでご飯を炊いている間に時間があったので、
部屋にいる16番君をスケッチしながら思いついたお話し。
彼はどこか退廃的でニコリともしないので。

丁度昔のヒット曲、ビリー・ジョエルのピアノマンが流れていたのも手伝いました。
(曲の内容は全然違います 酒場のピアノ弾きや老人は登場する)



色んなタイプ、持ち味の住人達がいて面白いです。
それぞれから与えてもらうインスピレーションがありますね。
ありがたい。

金魚は食玩(すみません間違えました)ガチャです。
薬瓶には透明消臭ビーズ、金魚、消臭ビーズの順に入れ、最後に水を流し入れて完成。
金魚が安定します。


クラゲバージョンもいけそうです。 (透明系で見えるのか?



150713-2.jpg



お読み頂きありがとうございました。






スポンサーサイト
別窓 | 教室A眠A・F16・HYDE | ∧top | under∨
| † 箱庭のHEAVEN † |