どんなふうに人形を撮りたいですか 花筐-はながたみ
2020-05-16 Sat 17:20
                                                


どんなふうに人形を撮影したいでしょうか。

地域により緊急事態宣言の解除や緩和になってきたもののまだ制限はありますから、
今年に入ってからほとんどの方は自宅で撮影をされていることでしょう。

あれこれ考えて衣装や小物そして背景を作り込む、それらより人形の姿こそが大事、
アイテムとして、それとも気軽に自然体で一緒に居るのを楽しむのが一番などそれは様々ですよね。
人形愛に定義はありません。

人形の持つ個性に合わせたり生活環境やマイブームによるかもしれませんが、
長年のうちにだいたいの好みのパターンは決まりがちだと思います。

私もこれまでコンスタントにあれこれ撮り続けずいぶん楽しんできたものです。


その中から今日取り上げたいのが数日前に載せた”わたしの部屋に現れるゴーストシリーズ”のアニエス(アーニー)。
これはゴーストの住人が主題なので、そこは一貫してもののけ的ホラー感と儚さや切なさをできるだけ濃くだしたいわけです。

実はこの時に思い描いたモデルがいたりします。

アーニー オーバーメイク
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題材は能・狂言楽の謡曲「花筐-はながたみ」。
かつて寵愛された帝への忘れられぬ恋慕のあまり物狂いとみられた照日の前(てるひのまえ)がモデルです。
(再び召されてハッピーエンドの話ではある)

随分と前に上野の美術館で日本画家上村松園の大作「花がたみ」を目にした時、
あまりの素晴らしさに惹き込まれ飲み込まれ2、30分程その場を動けませんでした。

静寂なまでに美しくこの上なく典雅であるのに、見れば見るほど異質な狂女の表情と情景を前にフリーズ状態で、
その間まだ小さかった息子は椅子に座りあやとりをして待っててくれていたのを思い出しました。(ありがと
今はもう立ちっぱじゃ腰が痛くなっちゃって感動は同じでも体がついてこれず、空いていてもそんな鑑賞は無理だろうな・・・。

などと言うエピソードもありで、最初に頭の中に浮かんだイメージを絵にするとこんな風です。


のう悲しや君の御花筐を打ち落とされて候

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形象があらかた決まったら、今度はそこからフィットしそうな衣装やウイッグ、小物や背景を用意します。
ちょっと洋風で華やかに乱れたミスマッチさのほうがゴーストのアニエスには似合うと思うのだけど。


200516DSC_4657.jpg


背景はクラッシュベロアと黒いチュールで簡単にまとめました。
照明の当て方でそこそこ奥行がでてとっても便利だから撮影に布は超使い回し。
背景布も好きで5,6枚あるのですが、使いこなすのが難しくてどうもチープに写ってしまうのが難点シワも気になるし。

この時は自然光+LED卓上電気スタンド、相変わらず専用の照明機器やレフ板など気の利いたものはありません。
欲しいと思いながら今に至る。


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因みにこれは背景布を使った撮影 全体が暗くて私には比較的扱いやすいもの
いい感じにセットした蜘蛛の巣がほぼ反映されてなかったw( ;∀;)w

再帰的と非再帰的 Ghosts in my room 8 2016年
 
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あとはいつも通り色んな表情を探し出したり引き出したりして、人形と自分だけの人形の世界で遊びながら楽しくやっています。

この時のアニエスは退屈を持て余すゴーストという設定ですが、
永遠に続くかのような虚しい時間を漂う空ろなアニエスに、愛しく思っている相手をそっと教えてもらうなど、題材の「花筐」の名残りを踏んでいます。
言わなければ自分と人形にしかわからないいつもはしょる裏話部分。


そしてどんなふうに人形を撮りたかったのかと言えば、照日の前のような空虚に向けられている表情(視線)です。

アニエスにはそのような異質な美しさを見てみたいという想いに誘われるものがあります。

つまりとても魅力的なのです。


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